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参議院 予算委員会 [国会活動]

3月16日の予算委員会で一般質疑を行いました。同期の小泉委員の関連質問です。

1. 外交防衛関係:(外務大臣)
日米安全保障協議会(2+2)で台湾海峡問題への言及に対する中国の反発、全人代における反国家分裂法可決、東シナ海におけるガス田開発、潜水艦領海侵犯など、中国の東シナ海、台湾に対する最近の動きに対する我が国の考え。
米軍トランスフォーメーションと岩国基地のあり方
最近の報道(厚木からのキティホーク艦載機の移転、NLPの可能性など)

2. 農林水産関係:(農林水産大臣、副大臣、政務官、財務大臣、財務省主計局長)
食糧農業農村基本計画における担い手への施策の集中化重点化について
食料自給率引き上げ目標への施策
穀物輸入状況について
世界の穀物需給状況、特に中国の状況。
我が国が輸入する穀物の確保の見通し
輸出促進策について
品種の保護(国内の優良な品種が海外に不法に持ち出され、また海外で栽培されることへの対抗策)
農林水産省予算について

質問の様子は参議院ビデオライブラリーからごらんいただけます。

議事録(抜粋)については以下をご覧ください。

○理事(若林正俊君) 関連質疑を許します。岸信夫君。
○岸信夫君 自民党の岸信夫でございます。小泉先生と同じく、今回初めて予算委員会で質問をさせていただきます。
 まず、在日米軍の関係についてお尋ねしたいことがございますが、まず第一点として、二月に行われました日米の安全保障協議会、協議委員会、いわゆる2プラス2でございますが、ここで自衛隊と在日米軍の役割、任務分担、また相互の運用性の向上といったことが確認されたわけです。また、共通の戦略目標をお互いの国が確認した。これは非常に大きな意義があることではないかというふうにも思っております。
 ただ、この共同発表において、台湾海峡の問題、この平和的解決を促すという戦略目標が盛り込まれたことにつきまして中国が大変反発を示しているわけです。
 中国は、ここ十七年連続で二けた増の軍事費の増大、大変な軍事大国化を図っております。また、このところ東シナ海によるガス田の開発とか、あるいはさきの原子力潜水艦の領海侵犯、こういったことを見ましても、海洋権益を求めて東側に強引な進出を図ってきているんじゃないかというふうに思えるわけです。また、先日の中国の全人代でほぼ満場一致で採択されました反国家分裂法に見られるように、台湾問題についても相当強い態度で臨んできている。
 このような中国の動きに対して、我が国と米国が台湾問題に関して平和的解決を促して、また中国の軍事分野における透明性を高めることを通して中国がアジアの、アジア太平洋地域で責任ある役割を果たしていくよう求めることは、これは我が国としても当然のことだと思いますし、これまでの外交スタンスとも変わったところはないというふうに了解しておりますが、このような中国の対応についてどのようにお考えか、町村大臣のお考えをいただきたいと思います。
○国務大臣(町村信孝君) 中国に関する先般の2プラス2における共通戦略目標の表現、今委員御指摘のとおり、基本は中国が国際社会の中でより建設的な役割を果たすように促していくということであり、それはもう中国も全く異存のないところだろうと、こう思っております。
 その中に台湾海峡をめぐる記述があるということについて中国側の反発があることを私も承知をしておりますが、これは何も新しいことを日米間で取りまとめたというわけではございませんで、この台湾海峡をめぐる問題の対話を通じた平和的な解決ということは、これはもう、日本を含むこの地域の関係国にとってこれは共通の関心事項であるということであります。
 したがって、この共通認識として盛り込んだわけでございまして、これは従来から、私どもがこの問題については武力行使には反対であると、話合いで解決をしてください、両当事者間の対話を早急に再開してくださいということをかねてより日本も言ってきたということを改めて確認をしたところであります。
 実は、昨日、中国の外務大臣と電話会談をいたしまして、そのことを私からも改めて先方外務大臣に申し上げたところでございます。
 また、反国家分裂法につきましても、先方の方から、これは中国にとっては大変重要な意思決定であり、中国の領土的一体性を保つためには必要な法律なんだということを力説をしておられましたので、私の方からは、この法律が通ることによって中国と台湾の関係というものに否定的な影響を与えるのではないかということを懸念をすると、もとより武力行使というものには反対であると、他方、台湾の独立を認めるということも私どもは反対であるということを、平和的な解決によって、対話によって解決をしてもらいたいということを昨日申し上げたところでございます。
 そのほか、今委員御指摘のあった、例えば先方のあの原子力潜水艦の問題、あるいは海洋調査船、東シナ海における中国の資源開発の問題等々、海洋絡みの話がいろいろ問題になってまいります。政府といたしましては、日本の領域の保全、そして排他的経済水域、さらには大陸棚における主権的な権利等の確保のために、これは毅然として対応していこうということで、累次、これは首脳ベース、あるいは外務大臣ベース、あるいは事務ベースでもその話合いをやっているところでございます。
○岸信夫君 ありがとうございました。
 在日米軍の再編に当たりまして、政府としては、在日米軍の抑止力を維持する、また沖縄を含むそれぞれ基地のある地域の地元の過重な負担を軽減していこうという方針であると理解しておりますけれども、こうしたことは、私の地元山口県にも岩国基地がございますが、こちら、米軍の海兵隊がおりますけれども、沖縄だけではなくて、こういう本土の岩国基地も含めた全体の基地の在り方をめぐる議論にも当てはめて考えられるというふうに思っておりますけれども、この点を確認をお願いします。
○国務大臣(町村信孝君) 今回の米軍再編成の議論の過程で私どもが基本的な視点として持っておりますのは、先ほど委員お触れをいただきましたような、米軍の抑止力を維持しながら、同時に地元自治体の、これは沖縄ばかりではなくて、沖縄以外のところもそうでございますが、地元の負担を軽減をするという観点を何とか両立をさせて検討していきたいということで、今いろいろな可能性を検討をし始めているところでございますが、現状ではまだその具体の内容について議論が始まったところでございまして、いろいろ報道はされておりますけれども、具体に決まったところはまだ全くないという状況でございまして、いずれ一定の案が両国間でまとまったところで関係自治体にもお話をし、御了解を得つつ、最終合意に持っていきたいと、こう思っております。
 ただ、確かに米軍のこの負担という話がございます。それは確かに騒音等々いろんな面で負担があることはよく承知をしておりますが、また同時に、米軍が駐留をすることの日本全体にとっての意義といいましょうか、メリットといいましょうか、米軍がいることによってある意味では日本は限られた資源を軍事以外の面にも相当活用することができてきた、その下で日本は戦後いろいろな発展を遂げることができてきたんだということでございまして、どうぞひとつ、この在日米軍の負担という面ばかりが強調されずに、同時にその意義というものも併せ御認識をいただければ有り難いと、こう考えております。
○岸信夫君 先日、読売新聞の第一面に出ておりました、こういう記事ですけれども、「厚木から岩国移転」と、さも限定的な、確定されたような新聞記事が載っておりましたことは大臣もよく御存じのことと思います。横須賀を事実上の母港とする空母キティホークの艦載機、約七十機ぐらいだと思いますが、これが岩国に移ってくるんじゃないか、その場合にいわゆる夜間発着訓練も岩国でなされるんじゃないか、こういうような記事が出ておりましたけれども、今の大臣の御答弁を聞いておりますと、まだこういった事実関係、事実についてはないと、このように了解してよろしいでしょうか。
○国務大臣(町村信孝君) 先ほどお答えを申し上げたように、いろいろなアイデアはこれから具体に詰めていきたいと、こう思っておりますが、まだ両国間で合意をしたものというのは一切ございません。いろいろな新聞記事が出て、その都度地元の皆さん方にいろいろな反応が出ておることを私もよく承知をしておりますが、なかなか筆の立つ記者さんたちが大変いろいろ、まあよくここまで、まあ捏造すると言うとそれはちょっと記者さんに失礼かもしれませんが、いろいろな断片情報を集めてうまく記事を組み立てるものだなと感心をすることもしばしばございます。また同時に、私ども外務省、あるいは関係省庁の情報管理が本当にある意味ではずさんだなということを自ら反省をしながら、その辺は本当にしっかりやらないといけないと、こう思っているところであります。
 いずれにしても、いろいろな段階でいろいろな報道があり、地元の皆様方にある意味では要らざる御心配なりをお掛けをしていることは、まあ私は別に新聞社に代わっておわびをする立場にもございませんが、まあ残念なことでございます。きちんと、成案を得次第、地元の御了解を得るべくお話をしたい。
 今月下旬にも、基地所在の知事さんたちで渉外知事会というものがございまして、その渉外知事会の方々ともこれまでの日米間の議論の状況についてお話しできる範囲のことはまずできるだけお話をすると同時に、地元の皆さん方のお声も先によく伺っておこうという場もつくることで今、日程調整もしているということを併せ申し上げさせていただきます。
○岸信夫君 私も何度も岩国基地参りました。周辺の住民の方ともいろいろお話をしてまいりました。自衛隊やアメリカの海兵隊の方々、これは地域の方々と非常に平素より親睦を深めておられます。交流活動も大変盛んなところで、良好な関係を築いてきているところであるわけです。基地との共生ということに向けて住民の理解も大変深まっていたところでありましたけれども、今回の新聞報道というのがいきなりこういう形で出ますと、非常に現地の方々、戸惑いもありまして、私としても大変残念なことであります。
 今、御存じのとおり岩国基地では滑走路の沖合移設が進められております。これが完成する二〇〇八年には、距離も遠くなる、あと滑走路の延長線上に今までコンビナートが引っ掛かっていたんですけれども、それがなくなるので随分騒音の関係も軽減されるんじゃないかというふうに期待がされているところです。また同時に、地元の方々にとっては民間空港の再開の問題もございます。これはまだまだ大きな夢という段階かもしれませんけれども、そうした形に是非とも、力を持って地元の方々も進めておるところではあります。
 先ほどもおっしゃられましたとおり、大臣もおっしゃられましたとおりですけれども、岩国の基地は今河口の地域にあります。大変、ここがなければ非常に海に対しても開けて、経済的にも良かったんじゃないか、逆に基地があるがために逸失した経済利益も相当あるんじゃないかということさえ言われていますけれども、ただ、我が国のこの盤石な防衛体制をこれはまた築いていくという意味でも、現地の自治体の方、また地元の住民の方とも理解というのが大変重要なポイントになると思うんです。先ほどおっしゃられましたとおり、三月中にいろいろ意見を聴取されるということでございますので、是非ともこうした地元の方々に対する御説明をしっかりしていただきまして、また地元の状況をしっかり理解していただきたいと、このように思っております。
 続きまして、農業関係のことに移りたいと思います。農政に、農政問題につきましてお尋ねいたします。
 食料・農業・農村基本法、基本計画の見直し作業が今進んでおります。
 農業従事者の減少あるいは高齢化、こうしたことはもう大臣もよく御存じのとおりです。また、今進んでおります国際化の進展など厳しい農業環境になっておりますけれども、このような状況の中でも将来にわたって農業が持続的に発展していかなければいけないわけです。やる気と意欲のある担い手を明確化して、これに対して施策を集中化していく、重点化していくということは、これは大変重要なことだと思っております。
 また、このことによりまして、農地や水などの経営資源が担い手に移転しまして、継続的な発展が図られるような改革、構造改革が実現するという考えは、これは非常に理解しやすいことではあるんですけれども、一方で、やはり農村社会には小さな小規模の農家、弱小の農家というのもたくさん存在しておるわけです。兼業農家もございます。いきなり担い手の明確化といっても、これらの農家によって支えられている農村社会全体として受け入れられることのできない混乱も発展するんじゃないかと、このように危惧されているわけです。
 今の農業構造をどのような方向にこの計画で改善していこうとお考えなのか。その際、小規模の農家を切り捨てるというようなことがないんだろうかと大変不安に思っている方も多いんだと思いますが、大臣の御見解をいただきたいと思います。
○国務大臣(島村宜伸君) お答え申し上げます。
 ただいま御指摘がありましたように、農業を取り巻く内外の環境、正に激変しておると言っても言い過ぎじゃないと思います。
 まず、国際的には、国際会議などに行きますと、もうもはやもうボーダーレスの時代だと。言わばお互いに国際分業の時代なんだから、農業生産は我々に任せろと、いわゆる大農業国のケアンズ・グループなどはそういう露骨な意思を見せるわけですね。
 その一方で、国内では、御承知のように、今御指摘のあった高齢化の問題とか、あるいは少子化の問題とか、あるいは最近、農業は他の言わば産業に比べて非常に効率が悪い、あるいは収入が少ない、労働条件厳しい、いろいろな問題に照らして、言わば農業をおやめになる方、あるいは耕作を放棄する方、いろいろ出てきておりまして、非常に厳しい状況下にあります。
   〔理事若林正俊君退席、委員長着席〕
 こういう状況の中で、私たちがまず考えなきゃならないのは、将来に向かって言わば食の安定供給を確保するための自給率の向上もありますし、また一方では、農業者が自信と誇りと将来に向かっての展望を持って農業に取り組める環境づくり、体質の強化、これに対して我々は努力をしなきゃいけないと、そう考えるところであります。
 そういう意味で、今御指摘、お話がありました基本計画、これは、念のために申し上げますけれども、農業関係者六名、学者四名、あるいは食品産業四名、自治体三名、消費者二名、そしてジャーナリスト六名と、それぞれの分野を代表する方が約一年三か月ぐらいになりましょうか、大変な言わば会議を持って、実に二十九回も何か会議を持ったということですが、先般、この答申をいただく際にもいろいろ伺いましたけれども、いろんな御意見が出て、かんかんがくがくともみにもんでこの結論に至ったということでありますが、私が非常にうれしく思ったのは、皆さんがそれぞれに言うべきことは言い、考えるべきは考えたと、その結果の計画であるという意味のとらえ方、とらまえ方をなさっていた姿でありました。
 この新たな計画に私たちは、基本計画に併せて言わば示すこととしております農業構造の展望の案でございますが、平成二十七年における他産業並みの所得を確保し得る経営、そして趨勢に政策努力を十分加味して、家族農業経営が約三十三万戸から三十七万戸程度、また集落営農経営が二万から四万程度、そして法人経営が一万程度になると見込んでいるところであります。
 このうち、集落営農経営とは、集落内の農家が個々ばらばらでなくて、言わば土地の利用調整とかあるいは営農販売管理、あるいは農作業に使う耕作機械などの共同言わば利用とか、言わばそういう意味の効率化を図る中で、言わば小規模な農家や兼業農家もこれに加わっていただいて、従前のようにばらまきでなくて、重点的にやはりこれらに対する我々は支援を行う中に、新しい体質の強い農家をつくろうということで、言わばその担い手を、これから秋に向かって最終案が詰められるところであります。
 そこで、よく指摘されるところでありますが、小規模農家は切って捨てられるんじゃないか、従前の農業は全くもう一切認められないんじゃないか。これは実は違うわけでございまして、やっぱり支援の対象を絞り込んでもっと効率的に重点的にするという意味において、我々はこういう方向を示されたわけでありますが、その一方で、従前のように、自分は農業もやる、そして言わば商売もやる、あるいはその他のこともやるということで、それぞれの個々の御判断でなさることは、それは自由なんでございます。ただ、そういう方たちまですべてに今度は助成をしていくということになりますと、これは一般の国民からも理解の得られないところでありますから、それらについて、これからは少しく絞り込んで集約して、もっと効果の高いものを生んでいこうと、こういうことなんでございます。
 少し、いささか説明が長くなりましたけれども、率直な方向を説明させていただきます。
○岸信夫君 ありがとうございます。是非そうした形で農村社会が活力があふれる農村にしていっていただきたいと、このように思っております。
 続きまして、同じ基本計画でございますけれども、食料自給率の目標です。
 平成十二年の計画では四五%の目標をまず掲げておりましたけれども、結果的に四〇%からなかなか上がらない、横ばいのままで推移したと。大変厳しい状況だと思いますが、また新しい基本計画では平成二十二年までに四五%という同じ目標を掲げられている。まあ先に延ばされたというわけですけれども、この厳しい中での達成に向けてどのような方策を具体的にお考えかということについてお尋ねしたいと思いますが。
○国務大臣(島村宜伸君) お答えいたします。
 確かに、平成十二年三月に示された基本計画、この時点では言わば平成二十二年までに自給率四〇%から四五%に上げるんだと、こういう目標を掲げたところでございます。
 しかしながら、いろいろこういう機会にも御説明してきたところですが、我が国で一〇〇%の言わば自給ができるというそのお米に対する消費が、私たちが言わば当初基本計画でもくろんだとおりに進まず、たしか平成九年が基準にされたと思いますが、たしか六十七、六十六・七キログラムを予定したのに、実際は四・八キログラムも下回ってしまって、相変わらず食、食の洋風化が進み、肉とかあるいは油脂の摂取量が増えてお米の消費が減っていると、これは非常に我々にとってはつらいところなんであります。
 たまたまこれらの計画を組むに際しては、一日二食米食を取っていただくという計算で、茶わんにして三杯と、こういうことなんですが、御参考までに申しますと、それ一杯当たりちょっと一口余計に食べていただくだけで一%上がるんだそうで、そういう意味からしますと、どうも最近の方は余りお食べいただかない。こんなに健康で美容にもいいものが、どうも日本人にとっては余り大事にされない。この辺を少しく改めていかなきゃならないんですが、ただ、これを食べなさいという強制はできないわけでございますから、それらについては国民の理解も当然必要なところであります。
 そういう意味で、まず食料自給率向上には農業の構造改革を進めて需要に応じた生産を行う、そして一方、消費面においては関係者が食生活の見直しなどに積極的に取り組むことが不可欠だということでございますけれども、まあ何といっても基本は食べていただかない、そっちの方向に行かないとどうしようもないし、我が国でもかつて昭和三十五年には七九%、約八割の自給率を誇った時点もあったわけでございますが、この言わば数字がどんどんどんどん落ちてきた経過は正に食の洋風化で、数字がきちんと証明できる。例えば、米の消費量、一方で肉や油脂の摂取量、これによって随分大きな差が出てきたということがちょうど平行してグラフで出ているわけですから、これは当たっていると思うわけでございます。
 そこで、私たちの言わば新しい計画の下では、生産面では、集落営農の育成を図りつつ、担い手への農地の利用集積を進め、これと並行して、需要に即した生産のための各種施設を推進するほか、経営感覚に優れた担い手を育成するための施策を集中、重点化、集中化、重点化するということが一つ。
 一方で、消費面では、分かりやすく実践的な食育を進めるためにフードガイド、これは先進国の中で日本はちょっと遅れておりますので、これは急遽そういうものを策定いたしまして、地域の農業者と消費者を結び付ける地産地消を推進してまいりたいと、こう考えているところでございます。
 自給率の向上の取組が迅速かつ着実に実施され、できるだけ早い時期に向上に転じるよう施策の工程管理を今後適切に実施して着実に進めていきたいと、そう考えているところでございます。
○岸信夫君 今大臣がおっしゃられたとおり、やはり国産の食料を食べてもらわないことにはどうしようもない。一方で、食の西洋化あるいは多様化ということがどんどん進んでいるわけですけれども、日本人として最も日本人の健康に合った形の食生活というのをもう一度見直していく時期ではないかと、このように思っています。
 その食料の供給面ですけれども、基幹食料の一つであります穀物ですね。穀物の需給状況についてお尋ねしたいと思います。
 最近、中国、先ほど小泉委員からも御指摘がございましたけれども、中国の穀物生産力が大変低下しているんじゃないかと思います。生産量が消費を全くカバーされていない。期末在庫を見ても五年ほど大きく減らしてきているわけです。政策的な部分もあるかと思いますけれども、中国やインドなど人口が増加しているこのアジアでの需要というのもこれからますます増えていくと思いますが、一方で、世界の穀物生産というのももうほぼピークに来ているんじゃないかと、こういうふうにも思うわけです。
 御存じのとおり、我が国は米を除き大量の穀物を輸入しております。こうした基幹食料を確保していくことについて、これから限られた食料生産の中で、世界の食料生産の中で、そうしたものを我が国が本当に確保できるのかどうか、この辺りのことをお聞かせいただきたいと思います。
○副大臣(常田享詳君) 委員はかつて日本の代表的な商社で穀物部で大変活躍をされたスペシャリストと存じ上げております。その先生から今中国のお話がありましたけれども、先般、私、一月インドに行ってまいりました。インドが今急速に人口を伸ばしておりまして、やがて中国の十三億を抜くだろうと、そして十五億まで人口伸びるだろうと、産児制限しておりませんから。そういうことの中で、中国とインドの動向については大変厳しい見方を持っております。その上でお答えをさしていただきたいと思います。
 二〇〇四年、二〇〇五年度の世界の穀物需給は、生産が好調であり、生産量が消費量を上回ることから、期末在庫量が前年度より約一割増加するなどおおむね順調に推移しております。
 この中で、中国でありますけれども、中国については、経済発展が続く中、農地転用の増加などによる耕地面積の減少、農産物価格の低迷による作付面積の減少、穀物から野菜、果実等の換金作物への転換等により、二〇〇〇年以降、穀物の生産水準が低下している一方、食料消費は質的、量的に向上していることから、食料の供給不足の傾向が顕在化しております。この結果、大豆、小麦等の輸入が急増し、二〇〇四年には農産物純輸入国に転じたところであります。
 ちなみに、二〇〇四年の中国の農産物貿易を見ますと、輸出額約二百三十四億ドルに対し、輸入額約二百八十億ドル、輸入超過四十六億ドルということで、純輸入国になっているという状況であります。
 以上でございます。
○岸信夫君 今答弁の中にもございました中国は、いよいよ輸入国になったわけです。
 世界のそういう食料生産考えますと、確かに二〇〇四年、二〇〇五年は相当な増加ということになったわけですけれども、それまでの数年間見ていると、やはりこれは毎年減少が続いていたわけです。世界的にも気候がおかしくなってきている中で、やはり我が国にとってもこれは生存権にかかわるような大問題になってくる可能性というのもあるわけです。
 安定的な輸入の確保ということは、もうもちろんこれは大変重要なことだと思います。また、それにも増して我が国自身が穀物の、特に穀物の自給率をこれ引上げということが、上げていくということがこれは肝心なんじゃないかと、我々の基幹食料であります、考えておりますが、お考えをお聞かせいただければと思います。
○副大臣(常田享詳君) お答えをいたします。
 委員御指摘のとおり、昭和四十年の時点での穀物自給率は六二%でありました。それが現在では二七%まで落としてきているということであります。今御指摘のとおり、将来にわたって穀物を安定供給していくためには安定的な輸入の確保と備蓄ということとともに、一番大切なのが国内生産を増大していくことではないかというふうに考えております。
 現状をちょっと説明させていただきますと、平成十五年度の主食用穀物自給率は六〇%でありますけれども、飼料用を含む穀物自給率は、先ほど申し上げましたように二七%まで落ち込んでおります。穀物が基礎的な食料であることから、自給率の向上を図ることが重要であると認識をしております。
 このため、新たな基本計画において、平成二十七年度に主食用穀物自給率を六三%、飼料用を含む穀物自給率を三〇%とする目標を掲げております。これを達成するために、生産面では、経営感覚に優れた担い手を育成確保し、需要に即した生産を進めるとともに、あわせて消費面で、厚生労働省と一緒に今連携してフードガイドなどを策定し、分かりやすく実践的な食育を進めてまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○岸信夫君 今お話ございましたけれども、飼料用を含めたこの穀物の自給率、たったの二七%と、大変心細い限りであります。何としてもこれを引き上げるような施策をどんどん推し進めていただきたいというふうに思っています。
 攻めの農政についてであります。
 一部農林水産委員会でも触らせていただきましたけれども、大臣は、この我が国の農水産物の輸出を五年間で倍増させるという目標を立てて積極的に取り組んでいかれると、こういうことであります。我が国の農業、非常に脆弱で、今まで守りという観点が非常に強かったわけですけれども、こうした形で輸出を促進していくと、こういうことは非常に農業に携わっている方々にとっても勇気付けられるようなことじゃないかなというふうに思うわけです。ただ、やはりその輸出の世界、大変厳しいところだと思います。平成十二年、我が国の輸出が約二千四百億弱だったのが、十六年度には三千億円ということです。四年間で二五%の増加となったわけですけれども、これを次の五年で倍増ということですから、非常に大きな目標になるわけです。
 ただ、輸出先では当然ほかの国との競争ということにもなってくるわけです。例えばアメリカ、アメリカは農水産物、農林水産物輸出金額が大体六兆二千億円ぐらいあるわけですけれども、これに対して国として百三十八億円の輸出促進策を取っておる。我が国はその十分の一、六千億を目指すということですから、この十分の一としては十八億ぐらいの話になるんですけれども、我が国の競争力を考えますと、もっともっと強力なサポートがないとやっていけないんじゃないかと、このようにも思うわけですけれども、こうした支援体制について御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○副大臣(常田享詳君) 食料の輸出ということに関しましては、御案内のとおり、攻めの農政という視点から、特に中国は先ほどお話ししましたように純食料輸入国に転換しておりますけれども、一方では、日本から見れば巨大な輸出国としての可能性があるわけであります。そういうことの中で、従来、台湾とかほんの一部の中国に対して行っておりました国産品の輸出について、今後、強力に進めていきたいと。既に、北海道のナガイモ、青森のリンゴ、私の地元の二十世紀ナシ等、大変な勢いで、台湾も中国もWTOに加盟したということもあって輸入枠が拡大しておりますので、大変伸ばしております。
 そのほかにも、全国四十七都道府県すべてが今打って出ようということで、いろいろなものをブランド化して今おります。今国会で、農林水産省マターではありませんけれども、商標法の改正もなされると聞いております。そういうことで、地域ブランドがそのまま表示できるような体制にもなって、その各地域のブランド品が海外で伸びていくということだろうと思います。
 これから五年間で倍増すると、輸出額を倍増するという方向で頑張っていきたいというふうに思っております。
 以上でございます。
○岸信夫君 今、その輸出ですけれども、我が国の農生産物、恐らく非常にプレミアム品を出すということになると思います。そうしたときに問題になるのが、その新品種、新しく改良された品種の保護ということだと思います。せっかく日本でいいものを作ったものが不法に持ち出されて海外で作られている。そうしますと、せっかく持っていっても、そこでぶつかってしまうということも出てくると思います。
 そういうことで、外国でのこういった規制に対して我が国も相当強く言っていかなきゃいけないんだというふうに思うわけですけれども、この辺りの方策についてお伺いします。
○大臣政務官(加治屋義人君) 実際に、我が国で育成された優秀な新品種が海外に渡って、そしてそこで生産されて、そして輸入、我が国に輸入され販売されている、こういう実際事件が、この疑いのある事件が発生しておりまして、我が国の育成者の権利をしっかり守らなければいけない、そのことは今、岸先生御指摘のとおりでございます。
 そこで、御質問のありました育成者権の保護の措置について少し述べさせていただきたいと思っております。
 我が国から海外に持ち出された新品種については、我が国と同等の品種保護制度のある国において、その国で育成者権を取得すれば新品種の農産物の生産などに対して差止めの請求を行うことができる、そのことによって守っていこうよと、こういうことが一つございます。しかしながら、品種保護制度が十分整っていない国がございまして、こうした対応は取れないために、EPA交渉とか技術の研修交渉とか、そういうもので制度の整備ができるように今話を進めさせていただいております。
 一方、不法に持ち出された新品種の種苗から生産された農産物が我が国に逆輸入される事態に対処するために、これは平成十五年度に種苗法を改正をしていただきまして、育成者権侵害に対する罰則を強化をさせていただいたところでございます。関係法の改正によって、税関において育成者権を侵害する農産物の輸入の取締りが可能になったと、そういうふうに考えております。
 さらに、このような品種の保護を強化するために、今国会に育成者権の効力を加工品まで拡大しようよという内容の法律を出させていただいておりますので、そこで種苗法改正法案について御審議をいただいて、よろしくお願いを申し上げたいと、そのように思っております。
○岸信夫君 これから我が国が輸出を進めていこうと考える場合、やはり海外で作られてしまうこと自体が問題になってきますんで、そこをしっかりとやっていただきたいと思います。
 最後、農林水産予算ですけれども、十七年度、二兆九千六百七十二億円の計上でございますが、かつて三兆七千億ぐらいあったころから比べると二割削減されていると。御存じのとおり、農林水産関係、農村の活性化などにとっては大変重要なところだと思います。スリム化、効率化、こうした中で、一方で予算が過保護でないかと、無駄遣いされているんじゃないかというような誤解もあると思いますが、こうした誤解を解消しつつ、適切な、必要な予算を確保されるよう望みたいと思いますが、財務大臣の御意見を最後に伺います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、岸さんから、ピーク時は三兆七千億ぐらいあったのが、今二兆九千億の農林水産関係予算であると。私、それいつごろのことかなと、ピーク時はですね。そうしましたら昭和五十七年ということで、この当時、私、そこまで調べてないんですけれども、一般会計は多分五十兆行くか行かないかのころ、今八十二兆一千八百億ですから、随分シェア自体は小さくなってきていることはおっしゃるとおりです。しかし、その内訳見てみましても、内訳も随分変わってきておりまして、やっぱり当時と現在における農林水産政策の、何というんでしょうか、変化というものもその中に表れてきていると思います。
 確かに、今委員がおっしゃるように、随分スリム化、美しく言えばスリム化してきたわけでございますけれども、やはり、ただスリム化すりゃいいわけじゃない。めり張りをきちっと付けて、競争力強化といった構造改革であるとか、食の安全、安心といった重点課題にはきちっと対応していく必要があるだろうと思っております。財務省としても、農林水産省ともよく協議をしながら、そういう大きな方向を過たないような予算をきちっと作っていきたいと、このように思っております。
○岸信夫君 ありがとうございます。


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