SSブログ

参議院 イラク人道復興支援活動等及び武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会 [国会活動]

イラクで日本人がテロ組織に拘束されたと見られる事件が発生しました。フランスの警備会社に雇用され、米軍関連の輸送業務の警護に当たっていた際に襲撃された模様です。あえて危険な業務に従事していたのだから、覚悟の上の事とはいえ、政府には無事に保護、救出にむけ全力を尽くす様強く要請するものです。 本件及びイラク情勢全般、及び3月に策定された国民の保護に関する基本指針について委員会で質問を致しました。 質問の要旨は以下のとおりです

1) イラクにおける日本人拘束事件の状況
 ・ 外務省の把握していないイラク滞在邦人の把握(町村外務大臣)

2) イラクの移行政府発足に対する評価
 ・ クルド人大統領の誕生、多難な組閣作業など(町村大臣)

3) 政治プロセスの見通しと我が国の支援
 ・ 我が国の国益に直結する政治プロセスの進展に対する支援についてどのように取り組むか(町村大臣)

4) 治安状況の現状と見通し
・ イラク全体の治安は悪化しているのか(外務省)

5) ムサンナ県の治安維持体制について
・ オランダ軍からイギリス軍への移管、オーストラリア軍の到着、イラク治安部隊の充実など、ムサンナ県の治安維持体制は十分か(大野防衛庁長官)

6) 自衛隊の活動状況と今後の方針
・ 当面の期限までの部隊編成、活動見通し、撤収時期の見極め(町村大臣、大野長官)

7) 自衛隊の活動についての国民に対する広報の充実・強化
・ 現地での活動状況を日本国内のみならず国際社会に積極的にPRしてゆくことの重要性について(町村大臣、大野長官)

8) 国民の保護に関する基本指針について
・ 各省庁、自治体、公共事業者間の連携、国民の協力を得るための啓発の重要性など、指針策定についての大臣の評価
・ 保護計画、業務計画のスケジュール(村田有事法制担当大臣)


参議院ビデオライブラリー

Real Player Windows Media Player


議事録(抜粋)

○岸信夫君 自民党の岸信夫でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 ただいま町村外務大臣より御報告ありましたイラクにおける邦人の行方不明事件について、まず御質問いたします。
 事件の概要についてはただいま大臣より御報告をいただきましたけれども、現段階ではまだ拘束されたとの確認が取れてないということです。犯行グループとされるアンサール・スンナなる組織からはウェブサイトにおいてこの齋藤氏の、拘束した旨の声明が出されております。また、昨日より様々な報道が我が国においてもなされておるところです。
 現地の情報も錯綜している中で、また事件も進行中ということであり、難しいこともあるとは思いますけれども、分かる範囲で更なる詳細について、また我が国の今後の対応等についてもお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
○国務大臣(町村信孝君) 基本的には先ほど申し上げたところが要点でございまして、それに尽きるかなとは思っておりますけれども、もう少し詳しく申し上げますと、八日に、この齋藤氏を含むハート・セキュリティー社関係者十数名だそうでありますけれども、イラクの西部に所在するアルアサドの米軍基地まで物資を運ぶと、こういう仕事に従事をしていたようでございます。齋藤氏は、その車両の警護を行うという役割を担っていたようでございます。同米軍基地に到着をし、同日の午後、齋藤氏ら十数名のそのハート・セキュリティー社関係者が基地を出発して帰路に就いたその夕刻、ヒートという町の近郊において車列が何者かに襲撃をされたということでございます。その際、死亡者が出たほか、行方不明者も出ているということでございます。その辺の人数その他実態は必ずしも正確な情報にはまだ接していないところでございます。
 そういう意味で、齋藤氏が拘束されているかどうかを含めて、安否がいまだに不明であるということでございます。
 イラク渡航については、今、日本全体としては渡航を自粛するようにというお願いを日本国民にしておるわけでございますけれども、こういう形で齋藤氏のように外国の言わばセキュリティー会社といいましょうか、警備会社に勤務をしたまま海外からそのままイラクに入るというような形についての入国については、残念ながら外務省としては把握しかねるケースかなと、こう思っているところでございます。
 しかし、さはさりながら、いろいろなルートで情報、こういう日本人がいるということをイラクにあります大使館で情報が入手できる場合もあるわけでございまして、そういう情報を入手した場合には、渡航を見合わせるように、あるいは先般も、香田証生さんのケースのように、隣国のヨルダンにいて入国をしたいという話があったときには、それを是非控えるようにというような強い勧告をしたりするというケースもございますので、今後ともこうしたことについては、できるだけ入国を延期するように、渡航を見合わせるように、今後とも最大限の努力をしていかなければいけないと、かように考えているところでございます。
○岸信夫君 政府におかれては、まず、その事件の正確な情報の入手、それから事実確認に努めていただきまして、また、報道されているようなこと、すなわち齋藤氏が実際に拘束されているということであれば、是非とも無事に解放されるように全力を尽くしていただくよう強く要請いたします。
 今もちょっとお話ございましたけれども、この齋藤氏の現地での活動でありますけれども、報道なんかによりますと、昨年から既にイラク国内で活動していたんじゃないかと。ハート・セキュリティー社には一年以上前から勤務していたというふうに了解をしています。
 今おっしゃられたとおり、現地でのこうした邦人、すなわち自衛隊あるいは大使館、報道関係者以外の邦人というのがどれだけいるのか、その辺りを正確に把握するというのは現実には難しいところかとは思いますけれども、こうした組織で働いている方の場合でしたらまだそうしたところをたどっていく手もあるんではないかと、こういうふうに思います。
 今のこうした同様の日本人の方、どれぐらいいるかということは、概数でもつかんでおられるところというのはあるんでしょうか。
○国務大臣(町村信孝君) 正確なこれまた情報はよく分かりませんが、相当数多くの警備に当たる人たちというのが何万人単位でいるということのようでございます。したがいまして、それの関係する会社の数といっても相当多数に上るんであろうかと、こう思われるわけでございまして、そこに日本人がどれだけいるかどうかということは、率直に言って、これは非常に把握することが困難なケースなのかなと、こう思われます。
 イラク全体にいる日本人の数は、自衛隊あるいは外務省関係者ははっきり分かっているわけでございますが、それ以外にマスコミ関係者を中心に若干名いるということは、これテレビの画面を通じて容易に知れるところでございまして、これらの方々にも強い勧告をしているわけでございますけれども、これについては絶対現地にとどまるという御意向でございますから、それ以上の退去命令という権限を私ども持っておりませんので致し方ないと思っておりますが、正確に何人ということはこの際は申し上げない方がいいということでございますから、若干名いるという程度にとどめざるを得ないわけでございます。
○岸信夫君 確かに、このイラク、ずっと以前からも退避勧告が出ている地域ですし、そこにあえて危険な任務を承知の上で入っておられるわけです。そうしたことから、先方から日本政府の方に連絡をしてくる、滞在をしているということを連絡してくるということはまずないんだとは思いますけれども、さはさりながら、我が国としてはやはり海外での邦人の保護ということには責任があるわけでございますので、是非とも最善の努力を今後続けていただいて、御本人の無事の確認と無事な保護に向けて全力を挙げていただきたいというふうに思っております。よろしくお願いします。
 続きまして、イラクの移行政府の発足に関してであります。
 一月の国民議会選挙を経まして、四月の六日にはクルド愛国同盟のタラバーニ氏が大統領に選出されました。クルド人の大統領などということはフセイン政権下では全く考えられなかったことだというふうに思います。翌日には統一イラク連合のジャアファーリ氏が首相に任命されて、四月二十八日に移行政府が承認されスタートしたということですが、まだすべての閣僚が決まっていないようです。
 新政権が今後、今年一杯続きます政治プロセスを着実に進めていくということができるようにこの支持をしていくということが、我が国を始めといたしまして国際社会のこれは責務であるというふうにも思うわけですけれども、このスタートしたばかりの新政権について我が国はどのように評価しているか、この辺りについて町村大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
○国務大臣(町村信孝君) 委員御指摘のように、一月の選挙を受けて、四月二十八日に移行政府が発足をするということになりました。大分時間が掛かったではないかという指摘もあるようでございます。確かに、早くできればできるにこしたことがないわけでございますが、言わばこういう民主的な選挙を経、様々なグループを束ねる形で内閣あるいは大統領、議会の議長等を選ぶというのは大変なプロセスであったんだろうと、こう思われます。
 まあこれらを派閥に置き換えて考えるとちょっとそれは大変不見識なことかもしれませんが、まあ自民党内の派閥であればある意味じゃささっとできることもあろうかと思いますが、国を挙げて、国を懸けて、しかもいろいろな宗教の違い、地域の違いを乗り越えて一つの統治体制をつくるというのは、多分我々が日本で想像する以上にはるかにそれは困難なことであったんだろうなと、こう思うわけであります。
 議長にはスンニ派のハッサニー、これは暫定政府における産業・鉱物大臣が就き、大統領にはクルド愛国同盟のタラバーニー党首がなり、首相には多数派であるシーア派のジャアファリー暫定政府の副大統領が任命をされるというような形、あと、それぞれ副大統領であるとか副議長、あるいは副首相、各閣僚にそれぞれいろいろなバランスを考えた形での人選が行われて発足をしたということのようでございまして、私どもとしてはこれを、新しいイラクが民主的な国家づくりのまた新しい歩を進めたと、こういう意味で歓迎をしているところでございます。私からも、ズィバーリー外相、この方は前暫定政府のときも外務大臣でありまして、私もお目に掛かったことがあるわけでございまして、お祝いの電報を発出したところでございます。
 こうした動きを受けまして、今後は八月十五日までに国民議会で憲法の草案を起草すると、そして二か月後の十月十五日までに国民投票を行うと、さらにそれからまた二か月たって、今度はその新憲法に基づく国民議会の選挙を行うと、そして十二月末までに正式なイラク政府を発足すると、こういう段取りが描かれているところでございまして、こういうプロセスを経ながら、やはりイラク社会というのは、私もそう知識があるわけではございませんが、非常に多様性に富んだ社会、国家であるということで、その多様性を反映する形で今後政治プロセスが進展をし、いろんな意味で紆余曲折はあるのかもしれませんが、しっかりとした民主的な国家がこの一年掛けて誕生していくんであろうと思います。
 私どもも、今後、いろいろな形でそうしたプロセスを支援をしていきたいと考えているところであります。
○岸信夫君 今大臣から伺いましたとおり、この政治プロセス、これから年内、非常に多くのことをこなしていかなければいけないわけです。この政治、政権運営にも予断が許せないような状況だと思います。イラクで民主的な国家、政府が定着いたしまして、社会が復興してイラクの民衆に平和がもたらされていくということは、これはもう中東のみならず世界の平和と安定にとっても大変重要なことだと思います。また、我が国にとりましても、この中東地域、エネルギー資源を大変多く依存しているわけですから、そういう意味でも大変関心の高いところだと思います。
 いろいろまだ政治、イラクの国内での混乱ということも続くとは思うんですが、この政治プロセスを進展させていく、このことが大切だと思いますし、万一うまく進まない場合、又は国際的なテロ勢力などの助長していく、こういうことにもつながりかねないわけであります。そういう意味でも、我が国にとって、我が国もこのプロセスの促進の支援ということについては、今大臣もおっしゃられたとおり、大変必要なことではないかというふうに思います。
 具体的にその支援策等についてもしお考えがございましたら、お聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(町村信孝君) 国づくりという意味では自衛隊の活動があったりODAというものがあるわけですが、特にこの政治プロセスについての支援について限定をして申し上げますと、主として二つに分かれまして、一つは選挙支援でございます。
 何しろ長い間この選挙というものをやってこなかった国でございますから、研修をするという形で、昨年の十二月から、十二月二十四日から二十八日まで、イラク独立選挙委員会の八名の方をお招きをして研修というものをやり、さらに第二回目の研修も、今年の、近々でございますが、五月十七日から二十五日まで、独立選挙委員会の十四名の方々をお招きをしてこの研修をやるということであります。地方自治体の方にも出向いて、どういう形で地方自治体の選挙管理というものをやっているのかと、そんな実態についてもよく見たり、あるいは実務研修をするということにしております。
 もう一つは、憲法制定のプロセス、憲法制定の支援をするということでございまして、五月二十四日から三十一日までの八日間、日本にイラクから十名ほどの方をお呼びしまして、この中には、女性を含む国会議員、それから内閣の役所の方、学界、こういう方々を十名ほどお呼びをしようと。日本からも、例えば明治憲法とか戦後の憲法の制定のプロセスに詳しい方であるとか、あるいはアジア諸国からも、例えばインドネシアあるいはマレーシア、これらの国々における憲法制定の、あるいは憲法改正の経験を語ってもらったり、あるいはイスラム国でございますインドネシアもマレーシアも、イスラムの言わば宗教と憲法というものをどういう形でうまく両立をさせていくのかというような実態も話してもらえるのかなと、こう思っております。
 今のところ、五月二十四日から三十一日ということなんですが、ちょっとイラクからどなたがお見えになられるのかということが、いまだ現時点ではっきりしておりませんで、場合によると多少延期をすることもあるのかもしれませんが、できるだけ早くこういうような場を設定をしてお役に立てればいいなと、このように考えて努力をしてまいりたいと思います。
○岸信夫君 どうもありがとうございます。
 続きまして、現在の治安の状況と今後の見通しについてお伺いしたいというふうに思います。
 ようやく新政権が立ち上がったところでありますけれども、またこれがスムースにいかないということになると反対勢力やテロ勢力を勢い付けてしまう、こういうこともあると思います。この一か月ほどを見てみますと、戦闘行為というものも一部の地域では大変激しさを増している。米軍やイラクの治安部隊、警察や民間人も含めて犠牲者もかなりの数に上っているようですけれども、まず、イラク全体の治安の状況について政府がどのように認識しておられるか、お聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(吉川元偉君) イラクの治安情勢についてのお尋ねでございます。
 この委員会でも累次御報告しておりますとおり、一月の三十日の国民議会選挙が終わった後、また四月二十八日の移行政府が発足した後も、地域によりその脅威の度合いは異なっておりますが、駐留多国籍軍、イラクの治安部隊と武装勢力の衝突、車爆弾、ロケット弾によるテロの事案というのが発生しており、依然予断を許さない状況が続いているというふうに認識しております。
 前暫定政府のアラウィー首相、それから新しく首相になりましたジャアファリ首相、いずれも政府が取り組むべき最優先課題として治安対策を掲げております。そのために、特にイラクの治安組織を強化するということをこれまで努力してきており、我々のイラク側から得ている情報によりますと、現在、四月の末に、十分な訓練が施され十分な装備を持ったイラクの軍と警察というのが合計十五万九千人ぐらいに上っているという報告を受けております。同じ数字が二月の四日付けでは十三万六千人でございましたので、確実と言えるかどうか分かりませんが、この治安組織の拡充という努力が実を上げているというふうに認識しております。
○岸信夫君 今お話ございましたとおり、この治安の任務というのは今後現地の方に移行していくと、これが大きな流れだと思います。
 自衛隊のおりますムサンナ県、サマワですけれども、この地域の治安の状況についてお尋ねいたします。
 三月にオランダ軍からイギリス軍に治安の維持の任務が移行され、また四月にはオーストラリア軍が新たにサマワに到着したということです。サマワにおける治安状況というのはもちろん予断を許さないものの、ほかの地域と比較すればまだ安定している、こういった状況に変化はないというふうに了解しておりますけれども、この治安任務の移管される中で治安の維持の体制が十分保たれていると今でも考えてよいのかどうか。また、この中には当然、自衛隊との情報の共有、連携ということも大変重要だと思います。また、今お話ありましたイラクの治安組織の充実状況も大変重要だと思いますけれども、こういったことを含めて、政府の認識をもう一度お伺いしたいと思います。
○政府参考人(吉川元偉君) サマワの治安状況についてのお尋ねがございました。
 先生おっしゃったとおり、私どもは、サマワにつきましては他の地域と比較して比較的安定した状況が続いていると、こういう認識でございます。バグダッドのイラクの政府、それから駐留多国籍軍の見解等を聞きましても、サマワが置かれておりますムサンナ県というのが全イラクにおいて多分最も治安上安定した地域の一つであるというような認識が一般的であるというふうに私どもとしては認識しております。
○岸信夫君 ありがとうございます。
 自衛隊の活動状況、今後の方針についてお伺いいたします。
 今、現地には第五次の派遣部隊が任務を行っております。また、今月には第六次の部隊が派遣されておるわけであります。特別措置法に基づく基本計画によりますと、自衛隊の派遣期間、今年の十二月十四日までというふうになっておりますけれども、この当面の期限までを考えますと、あと第七次、第八次ぐらいの派遣部隊というものを編成していく、こういうことがこれから必要になってくるんじゃないかというふうにも思います。
 政治プロセスの進展とかあるいは自衛隊の任務遂行状況によって、活動の終了時期、撤収時期を見極める必要も出てくるタイミングがあるのではないかと、こういうふうにも思うわけでありますが、このことについては、米軍やあるいはイギリス軍などの動向にもよるところも大きいとは思いますけれども、そうした自衛隊の活動、今後の方針についての見通し等お聞かせいただければと思います。大野長官、お願いします。
○国務大臣(大野功統君) まず、今後の自衛隊の活動でございます。
 委員御存じのとおり、給水活動、公共施設の修復活動、そして医療活動、この三つをやっておりましたけれども、給水活動につきましては、ODAによる給水機、浄水機が行き渡りまして、この辺は、このところは二月、今年の二月四日からこの給水・浄水活動はやめているところでございます。ただ、公共施設の修復活動、道路の修復あるいは学校等の修復でございますが、これはまだまだ需要が存在しておりますし、また医療活動につきましても、例えばどういうふうに病人を運び込んでいくか、そういう技術指導、医療指導でございますが、現地には十分需要があるわけでございます。
 その中で今後どのように考えていくか。まず私は、切り口としては三つか四つあると思うんです。
 一つは、やはり政治プロセスが、イラクにおける政治プロセスがどのように進展していくんだろうか。町村外務大臣の方から、いろいろ問題はあったけれども今のところこういう点まで来ていると、こういうお話がありました。そういう政治プロセスの進展を十分見極めていくことが一つ問題点だと思います。
 それからもう一つは、ムサンナ県の治安状態がどうなっていくんだろうか、この点は今委員もお触れになりましたけれども、いわゆるオランダ軍が撤収してイギリス軍、そしてオーストラリア軍が、この両軍が治安の維持に当たると、あるいは現地の治安機関の育成に当たる、こういう仕事をやっております。したがいまして、こういうイギリス軍、オランダ軍と、失礼しました、オーストラリア軍と日本の自衛隊、三者の間で連絡を密にして情報を交換しながら協力関係を強化していかなきゃいけない。
 せんだって、ゴールデンウイークの間でございますけれども、私、オーストラリアへ行ってまいりまして、ヒル国防相と会って、毛利元就の三本の矢の話を出して、三者で協力していく、絶対大丈夫だと、こういう話もしてまいりましたけれども、やっぱり協力関係、これはもう本当に大事なことだと思っております。そういう観点がやはり一つ必要だと思います。
 それから、イラクの経済社会の復興の状況が一つあると思います。これ先ほども申し上げましたけれども、これはなかなか復興の状況という切り口で見ますと、まだまだ道半ばだなという感じがしておりますが、そういう切り口も大事だなと。
 それからもう一つは国際社会の動向、これを見ていくことも大事だなと。
 こんな四つの切り口を見ながら考えていかなきゃいけない問題でありますけど、今現在で見ます限り、自衛隊につきましては自衛隊の活動の需要は十分ある、ニーズは十分ある、そしてやはり自衛隊が真剣に取り組んでおります人道復興支援活動、この安全確保を十分注意しながらやっていかなきゃいけないなと。問題は、早くこれが治安、今言ったような四つの観点から良くなってきて、自衛隊がやっている仕事が本当に民間の手で、イラク人の手でなされていくことが望ましいな、そんな日が一日も早く来ることを我々も一生懸命今頑張って期待していきたい、このように思っております。
○岸信夫君 どうもありがとうございます。
 自衛隊のこの活動についての国民に対する広報の件であります。
 大変現地のニーズに即した活動を自衛隊の皆さんに続けていただいておるわけでございまして、また一方で現地の住民の雇用を創出するということもあって大変地元住民の方には喜ばれておる、こういった活動を続けているこの自衛隊の現状というものが余り正確に伝わってこないんではないか、来ていないんではないかという気がするわけであります。国内の、日本国内の広報活動を充実しなければいけない、こういうことはもちろんなんですけれども、一方でイラクの国内あるいは中東地域、そしてヨーロッパやアメリカ含めた国際社会、更に言えば中国や韓国、こういった国に対しても、我が国がイラクでイラクの復興に尽力している、国際社会の安定に大変寄与しているんだと、こういうことをもっと積極的にPRしていかなければいけないんじゃないかと、こういうふうに考えます。
 今のこうした広報活動について、現状、そして今後どのようにやっていくおつもりがあるかどうか、こうしたことをお伺いしたいというふうに思います。
○国務大臣(大野功統君) 岸委員御指摘のとおりでございます。現地サマワでは住民の中で自衛隊の活動というのは大変な共感を呼んでいる、そして高く評価され、受け入れられている。これは、私は昨年の十二月にサマワへ参りましてこの目で確かめてまいりました。しかし、この活動が意外に、日本国内でどうなっているんだ、国際的にどうか、こういう点は我々一生懸命やっているつもりなんですが、先生御指摘のとおり、これからもやっていかなきゃいけない、広報活動を重点的にやっていかなきゃいけない、このように思っております。
 現在やっておりますことを全部挙げますと時間掛かります。掛かりますので、もう本当に主な点だけ申し上げたいと思いますが、例えば防衛庁といたしまして、政府広報の枠組みを活用しながらイラク市民や国際社会に向けた広報として、アラビア語版、英語版のホームページによる広報をやっております。それから、海外メディアからの取材にも対応いたしております。私もこういうメディアに対応してやっております。アラビア語版パンフレットを作成してこれを配っております。現地のテレビ、新聞による広報もやっております。私も、中東衛星TV、アル・ジャジーラに出演さしていただいたことございます。英語版パンフレットの作成配布をやっております。英語版政府広報誌への関連記事を掲載しております。現地部隊による広報活動もさしていただいております。
 そして、現地部隊が、本当にこれは本来の人道復興支援活動ではないんですけれども、余暇に例えば文化活動をやる、これは大変この現地の人の共感を呼んでいる。そして、そのことが、せんだってオーストラリアのヒル国防相と会ったときも、サマワの日本人、日本自衛隊の宿営地へ行って太鼓の演奏を聴いたと、大変高い評価をする、ああいうことをやりながら支援、人道復興支援活動をやっているんだなと、こういうことをおっしゃっていました。そういう意味で、こういうこともやはり広報活動の一環として日本の自衛隊の活動を広めていく道かなと、こんなふうに思います。
 その他まだ一杯あるんですけども、時間の関係で、後ほどもし御興味あれば事務的に御説明をさしていただきたいと思います。
○岸信夫君 ありがとうございます。
 先ほどもちょっと触れました中国や韓国、こうした国に対しても、我が国はこれだけ世界の平和に今寄与しているんだと、こういうことをPRしていくということもこれ大変大事なことじゃないかというふうに考えますけども、町村大臣、もし御意見ございましたらお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(町村信孝君) 今、自衛隊の活動を内外にPRするという点については大野大臣からお答えをいただきました。
 それに加えまして、やはり日本の国というものを知ってもらうPR、なかなか中東というのは、縁が深い割には先方に対するPRが今まで手薄であったと、そんな反省もありながら、先方のマスコミ関係者を日本に呼んだり、あるいはこちらから積極的なPR活動を仕掛けていくというようなことも大いに政府全体としても心掛けているところでございます。
 今委員特に言われました中国、韓国への例えば今言ったような自衛隊の平和活動、復興活動のPR、そういうものができているかという、私ちょっとまだそこ調べておりませんのでよく調べてみたいと思いますが、多分そこまではできていないのではないのかなという気がいたします。
 私どもは、戦後六十年、日本の平和な国としてのそうした活動に自信があるからこそ、様々な国際舞台でより一層の場を求めて、今活動の範囲を広げているところであります。そういう活動が適正にどれだけ近隣諸国に理解をされているかどうかという問題指摘は大変、今委員からいただきまして、重要なポイントであると、かように受け止めましたので、大いにそうした面も今後心掛けてやっていかなければいけない、このように受け止めた次第でございます。
○岸信夫君 どうぞ引き続き最善の努力を続けていただくようお願いいたします。
 続きまして、国民の保護に関する基本指針についてお伺いいたします。
 この基本指針が閣議決定されたと、こういうことでございますが、国民の生命と財産を守るという、この国の責務を果たすための枠組みが具体化の運びになるもので、村田大臣始めとする関係者の皆さんの御努力を多とするものであります。
 国民の一人一人の価値観が多様化しておる中で、あらゆる脅威に対して国民を守っていかなければいけないわけでありますけども、この国民の保護措置の実施に当たっては、各省庁、都道府県あるいは地方自治体、そして公共事業者の多くの関係者がかかわってくるわけであります。こうした例えば組織一つ一つが、縦割りの弊害とかあるいはセクショナリズムなどの弊害が出てくることのないように、きちんと機能するように連携を取っていく、このことが大変重要なんじゃないかと、こういうふうに思います。
 また、国民の協力がなくしてはこれもう機能していかない、大変不可欠のものだと思います。そのための啓発ということも、これはまた大変重要なことだと思います。
 大臣から、この基本指針の策定についての評価及び今後の取組ですね、保護に関する計画、業務計画も含めて、こういったものの現場への落とし込みということのスケジュール等、お聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(村田吉隆君) 有事法制担当大臣としてお答えをいたしますが、平成十五年に事態対処法ができまして、そして昨年には国民保護法が成立したわけでございまして、そういう意味で国民の保護に関します法制が一応整ったわけでございまして、国民保護法に基づきまして本年の三月に、今委員が御指摘なさいましたように、国民の保護に関する基本指針を作りまして閣議決定したところでございます。
 この評価でございますが、長年の懸案でありました武力攻撃あるいはテロの際に国民の生命、財産を守るというのが政府に課せられた重大な重い、重たい責任でございますが、そうした国民の生命、財産を保護するための基本的な体制が整備されたものと、こういうふうに考えております。
 それで、スケジュールでございますが、基本指針に基づきまして、今年度中を目途に指定行政機関それから都道府県の国民保護計画、それから指定公共機関の国民保護業務計画を作ると、こういうことになっておりまして、それに引き続きまして、来年度には市町村の国民保護計画、それから指定地方公共機関の国民保護業務計画が作成されると、こういうことになっておりまして、そうしたことで、国民保護法に基づく一連の計画が整備されると、こういうことになるわけでございます。
 で、今委員も御指摘なさいましたように、国民保護措置の実効性を高めるためには、一つは関係機関あるいは国民の日ごろの訓練が必要であると、こういうふうに考えておりますので、平素からそうした訓練には関係機関とか多くの住民が参加してほしいと、こういうふうに考えておりますし、それから国民の協力が得られるように、やはり啓発が、国民に対する啓発が政府としても、あるいは関係の機関においても必要ではないかというふうに考えているところでございます。
○岸信夫君 我々国民一人一人の命にかかわってくる大変重要なことだと思いますので、是非しっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。また、今後のスケジュールについても、保護に関する計画、あと今年、来年度までかけてやられるということですけれども、こういった海外からの脅威等は待ってもらえないんで、是非この辺はしっかりスピードアップしてやっていただきたいと、このように思っております。
 時間も参りましたので、以上にいたします。ありがとうございました。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。