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郵政民営化法案 否決 衆議院解散へ [国会活動]

 

 (本会議 郵政民営化法案採決時、白票を投ずる寸前)

本日午後1時より行われた参議院本会議、郵政民営化関連六法案は野党に加え、自民党内の一部の反対派により108対125で否決された(棄権・欠席8人)。 私は賛成票を投じた。 自民党の多くが反対しているとの誤解があるようだが、自民党内ではほとんどが賛成、一部が反対である。

 衆議院を5票差で通過してから参議院でも大変有意義、中身の濃い議論が尽くされた上での特別委員会採決に続く本会議採決となった。自民党内でも賛成派、反対派が交錯した法案であった。
 小泉総理は郵政民営化を改革の本丸と位置づけ、並々ならぬ意気込みで取り組んでこられた。否決、或いは継続審議でも衆議院解散と、退路を絶つ決意で望んだ参議院審議であった。参議院での否決による衆議院解散の論理的正当性について議論があったが、衆議院と異なる結論を参議院が出したことについて国民に問い直すということだろう。
 民営化賛成、反対をめぐっては地方生活者、郵便局関係者の皆さんから多くのご心配の声を頂いた。 民営化は郵便局の廃止に繋がり、地域生活を守る大切なインフラが失われてしまうという不安、これまで私財を投じて地域のために尽くしてきたという特定局長さん方の将来の身分はどうなるのか、また郵貯簡保で集めた340兆円の資金が外国に取られてしまうのではないか等々、民営化反対の理由は様々であった。また自民党内ではこの法案をめぐる総理、執行部の強引ともいえる手法が反発を招き、法案の中身以前の問題として反対する議員も多くいたことも問題を複雑にした。
 そうした不安材料は衆議院での法案修正、またそれに続く参議院での政府答弁を通じて解決されたところも多い。更に参議院特別委員会では15項目の付帯決議がつけられた。この付帯決議は大変重いものと考える。
 残念なことに、終盤はマスコミが政局としての視点から本件を取り上げ煽ったために、参議院での審議内容が十分広く国民に広がらなかったことだろう。重要な改革案であったにもかかわらず国民の関心度が低く、内容が伝わらないまま可決か否決か、解散があるのかないのかといった目先の政局ニュースのみがテレビや新聞に踊って世間を惑わしてしまったことは反省しなければならない。
 私はこの法案に対し白票(賛成票)を投ずるに当たり次の点を最も重視した。
(1) 最も心配された地方での郵便サービスが確保されること
(2) 貯金銀行、生命保険業が民間に引き継がれるに当たりイコールフッティングが確立されること
 10年先を考えると民営化がシナリオどおり進められるような社会になっているかどうかわからないことも多い。過去の10年を考えても、宅急便の発達や、E-mail、インターネットなど新たな通信手段の開発が目覚しく、12年後は更に想像も出来ないような社会環境に発展しているかも知れない。今、民営化をする必要がないではないかとの議論もあるが、ジリ貧が見えている今、余裕のあるうちに民営化に取り組み競争力のあるインフラ作りを進めることが我が国の国際競争力強化にも繋がると考える。進むべきベクトルの方向として民営化があることは多くの国民が共有する認識と思う。であれば、歩みを進め、3年ごとの見直しで、方向がずれていれば調整をすることの方が、今立ち止まっているより、少しでも前進になる。
 我が国は成熟した社会をむかえ、かつての様な高度成長は望めない中、小さな政府の確立と民間主導の開かれた社会環境を築くことが何より求められている。

 民主党はもともと郵政民営化賛成が多い。今回の政府案よりも地方に厳しい民営化案が用意されているようである。 このたび野党と同調して反対した自民党議員はどのように考えるのであろうか。反対派は否決されても解散はないと考えていた。これが結局大きな読み間違いであった。賛成にしても反対にしても各人の責任において重い決断をしたのであって、これがもたらす結果については各々が受け止めてゆかねばならない。

選挙区の皆様には多大なご心配をお掛けしましたことをお詫び申し上げますとともに、ご理解を賜りますようお願いいたします。

以上

 

(本会議場に向かう議員)

( 本会議前の自民党議員総会 緊張した雰囲気が漂う)


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yoshi_green

賛成で正解だと思います。何かしないと国は変わらないと思います。19歳予備校生
by yoshi_green (2005-08-08 22:35) 

ちゅるる

郵政民営化には基本的に賛成なのですが、今回の件については素朴な疑問があります。

1、参議院で否決されてなんで衆議院解散?
  国民に信を問うっていうのはいいけど...

2、自民党から造反者がいっぱい出て反対票を投じたので否決。
  もともと小泉首相は二期目のときに「郵政民営化に反対なら
  私を自民党の総裁として選ぶな」と強気なことをいっていたけど、
  結局選ばれた、ってことは反対した人も、一応民主主義の原則から
  言えば、自民党内で賛成多数で小泉さんが総理総裁になったんだから、
  党議に従わなくちゃだめですよね?
  なんで今回反乱が許されるわけ? これじゃあ多数決で決めたことでも
  あとで「あんなの認めない」って言って造反できるでしょ?
  じゃあ自民党辞めればいいのに。

3、根本的にわからないのは、なんで参議院なんてあるの?
  この疑問は、かの白洲次郎さんもおっしゃっていたことで、解散の
  リスクがない(クビにならない)国会議員がいることは間違いだ、
  というのと同じです。だって内閣不信任になって衆議院が解散に
  なっても、参議院所属の大臣って選挙にならないでしょ?
  これは1とも関連するけど、参議院に解散があれば、小泉首相は
  衆議院ではなく参議院を解散したでしょうね。
  確か憲法では、大臣(総理も含めて2/3でしたっけ?)は、国会議員でなければ
  ならない、って決められていますが、これは衆議院議員でなければならない
  ってわけではないので、総理大臣が参議院議員ならいくらでも衆議院を解散できて
  しかも自分自身はクビにならない。こんなのやっぱりヘンですよ。

4、埼玉の新井議員だっけ? あの人、衆議院選挙で落選したけど、
  その後参議院の選挙(比例だったと思う)で当選。
  でもこれって、おかしいですよね。だって、衆議院選挙で落選ってことは、
  その地域で信任されていないってことで、あとで参議院で比例代表で当選って
  そこの地域の人は釈然としないんじゃなかなぁ。

  衆議院選挙で自民党(郵政民営化賛成派)と公明党で過半数を獲得した場合、
  国民としては郵政民営化に賛成という判断を下したことになるので、今回参議院で
  反対した自民党の議員達は、次回の臨時国会の時にどうするんでしょうか?
  やっぱり反対? そうなるといくら衆議院を解散→総選挙しても参議院で否決
  されちゃうわけで、参議院の次の選挙まで国民の意思は反映されないって
  ことになりますよね。これなら参議院不要論はますます大きくなるのではないでしょうか?
  参議院議員に対して失礼ですが、だいたい参議院なんて税金の無駄遣いですよ、
  と思うのは私だけでしょうか?
by ちゅるる (2005-08-09 10:28) 

岸 信夫

ちゅるるさん、コメントありがとうございます。
確かに今回、参議院が否決したことで衆議院を解散するのはおかしいとのご意見もあります。 もし、衆議院の与党が全員賛成であれば、衆議院を解散させることは出来ないでしょう。 しかし相当数の自民党議員が反対していたこと(それでも自民党の中では少数ですが)を考えれば、民意を問うということは矛盾しないと思います。(もちろん参議院を解散させることが出来ないという現状において)
今回の選挙は自民党が旧来の殻を打ち破る重要な意味を持つ選挙だと思います。争点は郵政民営化です。 今後の行政改革が懸かっているといっても言い過ぎではないと思います。
ちなみに民主党は官公労の支援を受けている限り行政改革が出来ないことは明白です。
ちゅるるさんに限らず、参議院なんて税金の無駄遣いと思っておられる方も多いでしょうが、参議院もよくやっている、機能していると評価していただけるよう頑張っていきます。
by 岸 信夫 (2005-08-10 18:57) 

moemoe75

ぁ、ども。「解散」ですね。いよいよ・・。国民投票的ナ選挙になるんだから、・・
各候補は、、次の3点をはっきりさせてほしぃものです。
すでにお分かりでしょうが、念のため。・・。


①、郵政民営化に・・賛成or反対
②、当選したら、誰を首相(首班氏名)に選ぶのか。
③、国のグランドデザイン(財政健全化と行財政改革の道筋・地方分権)

っと、特に①と②は、有権者に選択肢を示す上で、あいまいにしたままでは、
立候補する資格さえない、と、ワタシは、考えます。・・、どうでしょう??
by moemoe75 (2005-08-10 20:26) 

ちゅるる

岸議員殿

中国在住のちゅるるです。お忙しい中、私のコメントにわざわざお答えいただきましてありがとうございます。(実はあまり期待しておりませんでした、すみません)
国会議員の皆さんは今ほとんどホームページやblogをお持ちですが、コメントを受け付けなかったり、メールを送っても返事が返ってこなかったりすることが多いのですが、岸議員の姿勢には感服いたします。
主義主張はそれぞれ違っていても、国民の代表としての議員の皆さんが岸議員のように、小さな声も拾っていただければと思います。今後も頑張ってください。
by ちゅるる (2005-08-11 01:43) 

ケンケン

岸議員殿 :チュルルさんの質問の中で、郵政民営化法案が参議院で否決されたから衆議院を解散して国民の民意を聞くとして、選挙をして自民党が大勝しましたが衆議院で可決されるのは解りますが、案に賛成の衆議院の議員数が多ければ参議院にどう影響するのですか?今回の日和見参議院が反対から賛成派に替わるのは別として、再度参議院で否決されれば法案は成立するのですか?今回の衆議院の解散と参議院での法案審議の関係がよくわかりませんのでお教えください。チュルルさんへのお答えではそのへんが良く解らないものですから。お願いします。
by ケンケン (2005-09-14 09:46) 

南雲しのぶ

ケンケンさん、横レスで恐縮です。
今回、小泉首相は与党で3分の2を取るという野望の下で勝負をかけたのだと思います。
自民だけでこれだけの数をとれるとは思っていなかったのかもしれませんが、自民公明両党であれば可能性もあると踏んだのではないでしょうか。
それだけ勝負師だったのと野党が選挙になると思っていなかったという間隙を突いたということなのでしょう。
もちろん、岸さんの考えとは違うかもしれませんが・・・。
by 南雲しのぶ (2005-09-14 20:29) 

ケンケン

南雲さん、有難うございます。
与党で3分の2を取れば衆議院では賛成可決は全く問題ないと思いますが、参議院の選挙がなされていない今回では、衆議院の選挙前に参議院で「郵政民営化法案」は否決されてしまって、反対した参議院のメンバーがそのままなのにもう一度参議院に法案審議を持っていっても又反対の人数はそのままであれば、又否決されるのではないのですか?(前回自民党でありながら反対派の議員が今回賛成派に寝返った参議院議員は別として)
すみません、衆議院と参議院の仕組みを良く知らないもので。
法案が衆議院で可決されて参議院で否決されればいつまで経っても法案は成立しないのですか?
それとも次回の参議院選挙(2年後?)で議員が入れ替わって、反対していた議員がいなくなって賛成議員が増えた時に成立?(そんなことないですよね!!)
あまり初歩的な質問でごめんなさい。
by ケンケン (2005-09-15 08:55) 

南雲しのぶ

ケンケンさん、どうも。
岸さんも15日付けの記事で書いているようですが、法案が衆議院で過半数で通過して、参議院で否決されても、再度衆議院にまわされて3分の2以上の賛成があれば成立します。
なので、それを狙っていたのかなと思った訳です。憲法改正以外はどんな法案でも強制的に通過させられるという事ですから。
あとは議員さん一人一人の議員魂によるものなのでしょう。そうですよね、岸さん。
by 南雲しのぶ (2005-09-16 06:56) 

岸 信夫

ケンケンさん、南雲さん、ありがとうございます。
法律的に南雲さんのおっしゃっているとおりです。
郵政民営化法案が参院で否決された時、これを再逆転可決するには、衆議院に差し戻して2/3以上の賛成で可決するか、両院協議会をつくって可決する方法がありましたが、このどちらも不可能な状況だったので、小泉総理は、「民意を問い、参議院の結論を覆すために必要な2/3を衆議院で得ることを目的として解散に打って出た」わけです。 我々議員仲間ではしかし、解散時には衆議院で2/3を得るとは夢にも思っていませんでしたが、過半数が得られれば、参議院の反対議員、少なくとも棄権、欠席組は賛成に回ってもらえると確信していました。もともと信念を持って法案に反対していた人は限られていた(民主党議員も含めて、、、そのあたりは小泉首相はしっかり見抜いていた)し、衆議院の派閥リーダーの影響があったわけですから、そこが崩れたのだから、いつまでも反対できなくなっていたと思います。再提出される法案に参議院の決議が一部でも盛り込まれれば、賛成する大義も立つことになります。
すべての選挙区で民営化賛成の正統な候補者(刺客と言う言葉は使いたくないので)を立てるという、衆議院反対組に対する厳しい措置がとられたことも影響あると思います。
問題はどの程度の処分を何時行うかでした。参議院で処分なしでは賛成した側が黙っていられないし、組織としての規律が保てない。参議院の採決前では賛成に回るものも回らなくなってしまう。さりとて衆議院と参議院で処分に格差があるのもおかしい、、、と。 これは与党が過半数を取った場合の見通しだったわけですが、2/3となると状況は変わります。
すなわち自民党執行部は処分に関してフリーハンドを得たわけです。反対組は賛成に回るための条件交渉が出来なくなった。だからこそ、党から最後通牒を突きつけられる前に自分から賛成に回ることを表明した議員が出たのではないでしょうか。
ちょっと書き過ぎましたが、いずれにせよ法案成立の道筋は整ったわけですから、国会では粛々と審議採決を行い、次なる構造改革、公務員改革などを加速して行かねばなりません。 2/3あるから何をやっても良いと言うものではありませんが、方向性は支持されているということですので、参議院でも衆議院の議論をしっかりと補完し、存在意義を認めてもらえるよう頑張ります。
by 岸 信夫 (2005-09-16 10:36) 

岸議員殿、南雲さん

早速のコメント有難うございました。小泉総理が解散した理由や、衆議院及び参議院の役割が解りました。納得です!!! 
衆議院選で国民の民意は郵政改革を支持したのですから、是非とも改革を進めてくださいお願いします。
民主党と言う沈みかけた船の中で今まさに船長の交代をしようとされていますが、そんな船に誰が乗るのでしょうか、船長を決めるより沈没しないように船を補強するなり重い荷物を捨てるなりするのが先決と思いますが。
「船頭多くして船山を登る」じゃないが、口だけ達者な田舎船頭とか、にこにこ顔で誤魔化す船頭では川下り(政権)は任せません。
岸議員殿頑張ってください。応援しています。
by 岸議員殿、南雲さん (2005-09-16 11:54) 

ケンケン

(2005ー09ー16 11:54)のスレ、宛名と送信者を間違えて送ってしまいました。
ごめんなさい。
by ケンケン (2005-09-16 11:58) 

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