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中国の反日デモ、破壊活動について [意見]

 先日より中国各地で行われた反日デモ活動は我が国、国民の間に大きな落胆と怒りをもたらした。 北京オリンピックに向けて高い経済成長を続ける中国に対し我が国の民間企業を中心として投資活動も活発化している時期であっただけに、こうした活動に水をさす結果となりまことに残念である。
 私も以前貿易に携わっていた経験で言うと、中国との取引には常に大きな不安が付きまとい、細心の注意を払っていたものである。貿易取引を行うのに必要な最低限の法整備やインフラが信頼できない中での投資はギャンブルに等しいものであった。天安門事件を経て中国、特に上海を中心とした沿海部の目覚しい発展はそれまでの中国のイメージを根本から覆すものであり、日本経済が失速する中で東アジア経済のけん引役として大きな力となってゆく中国に対し、底知れぬ脅威を感じるところとなった。
 ところが、この度の事件である。特定の反日活動家のインターネットを通じての煽動に、多くの若者(徹底した反日教育を受けた若者)が集まったと考えられるが、中国政府が適切な対処をしなかったことは、この国の持つ政治的リスクの高さをあらためて知らしめることとなった。
 日ごろ、政府に対するデモなどの活動に対しては徹底して抑え込む中国が、今回はまったく黙認をした。さらに、日本レストランや企業への投石等の破壊活動は犯罪行為を目の前にしても警察官は犯人を逮捕することはなかった。
 在中国の我が国の公館に対する投石などを許したことはウィーン条約に基づく外交上の義務を果たしていない中国の責任重大である。
 こういった破壊活動に対し、日本政府は中国の謝罪と賠償を求めたが、中国政府は自らの非を認めることなく、原因は日本にありと開き直っている。まさに言語道断なる対応である(ちなみに、サッカーアジアカップで壊された我が国の公用車さえまだ賠償されていない)。
 かかる状況下ながら、町村外務大臣が予定通り訪中し我が国の主張を明確に示したことは評価すべきである。
 一連の事件に対する問題点について以下のとおり私見を述べたい
1)戦後の徹底した反日教育を受けた若者たちは日本に対し正しい認識を持っていない。我が国は1972年の日中共同声明以来、何回となく謝罪を繰り返しており、賠償についても中国のみならずすべての国に対して解決済みである。中国が賠償請求権を放棄していることは知られていない。
我が国は戦後一発の銃弾を放つことなく一貫して平和を希求してきた。反省と謝罪を繰り返し、賠償問題を解決し、さらに中国に対する3兆円に及ぶ経済援助を行ってきたことをも教育すべきである。
2)反日デモの動きに対し中国政府は何も有効な手立てを講じなかったことは、国主導のデモと見られる所以である。国内にくすぶる政府に対する不平不満のはけ口として日本に攻撃の矛先を向けさせたのではないか。 愛国無罪という言葉がよく聞かれた。愛国心から生まれる行動に罪はないといいたいのだろうが、まったく常識を逸している。さらに中国で言うところの愛国とはすなわち共産党に対する忠誠であり、我々が思うところの国に対する想いを指すのではない。だとすれば共産党が国を治めて以来の最大の敵は日本であり、日本を攻撃するることがすなわち愛国であるということである。清国以前の欧州諸国の侵略は(たとえばアヘン戦争を仕掛けた英国などは)問題にされないのである。誤ったナショナリズムに基づく犯罪行為を放置し、また外交上の義務を果たしていない中国には我が国のみならず、国際社会の失望を買うものである。反日行動は欧米でもメディアが取り上げている。中国においては民主主義の進展がまだまだ遅く、リスクの高い国であることを国際社会が再認識することになったのではないだろうか。中国にとって大きなマイナスである。それでも欧米では「日本にも責任はある」との意見もあるが、誤った認識に基づくものであれば、我が国政府は戦後いかに平和外交を推進してきたか、欧米諸国に対してもPR活動を進めるべく更なる外交努力を促したい。
3)我が国を取り巻く環境は大変不安定な状況となっている。我が国にとって国連安保理の常任理事国入りはまさに集団安全保障体制により安定を図っていくためにも重要な外交目標となっている。国際社会のルールが国連の場において議論され取り決められてゆく国連中心の国際社会形成が進む中で我が国の地位を確保してゆくためにも常任理事国入りを目指して欧米、アフリカ諸国からの信頼と支持を受けられるような外交を展開してゆかねばならない。

以上


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